女神さまとの約束40
何事もなく、二日間が過ぎました。
三日目の朝のことです。
「とんとん、とんとん」
戸をたたく音がしました。
でてみると、白駒でした。
白駒は、かなしそうな顔をして立って
います。
ふくは、こんなかなしそうな白駒の顔
をみたことがありません。
ふくは、誰かにあやつられるように、
すぅーと白駒の背にのせられました。
「ひひーん」
白駒は、かなしそうな声でなくと、す
ごいいきおいで走りだしました。
野をこえ、山をこえ、里をこえて、白
駒は走っていきます。
そして、山深い森の中へたどりつきま
した。
しらびそやつがの原生林が、ずっとつ
づいています。
目の前には、青々と水をたたえた美し
い湖がみえます。
つづく
信州の佐久地方には、「白駒の池」
という伝説があります。
「女神さまとの約束」は、「白駒
の池」の伝説をヒントにして、
みほようこが書いた物語。