火とぼし山


   火とぼし山 11


その後。
二人は、月に何度か会いました。


第三章 湖の氷の上を歩く


北風が吹く寒い季節になりました。
諏訪湖には、氷がはっています。
今日は、次郎と会う日。
「今夜は、湖の氷の上を歩いて行こう。
そうすれば、次郎さんに早く会える」
きよは、湖の氷の上を歩いていくこと
にしました。



でも、湖の氷は薄く、氷の上にのぼる
と、「みしっ」「ばりっ」と音がします。
氷が割れ、いつ湖に落ちるかわかりま
せん。こんな寒い日に、湖に落ちれば
死んでしまいます。
きよは、氷の厚そうな所をみつけ、そ
ろそろ歩いていきました。



「おや? 氷の上を、誰か歩いてくる。
誰だろう」
明神さまは、あわてて岸にあがりました。


            つづく



信州の諏訪湖には、「火とぼし山」と
いう悲しい伝説があります。

「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。