守屋山に黄金色の花が咲いた2
「兄ちゃんが一日も早くよくなります
ように。昔のやさしい兄ちゃんになれ
ますように…」
少女は明神さまに、毎日兄のことをお
願いしていたのです。
しかし兄は少しもよくなりませんでした。
少女が明神さまへ千回目のお願いに行
った日。
境内の中は、昨夜から降った雪で真っ
白でした。少女は真っ白な雪の上を、
神殿にむかって歩いていきました。
すると神殿の方からおごそかな声が聞
こえてきました。
「わしは守屋山に住んでいる明神じゃ。
おまえはなんて心のやさしい少女なの
じゃ。おまえが毎日ここへお参りにき
ていることは、よーく知っているぞ。
もう千回もここにきたのじゃな。
いろいろつらいだろうが、これからも
兄にやさしくしておやり。
兄はそのうちきっとよくなるだろう」
つづく
童話「守屋山に黄金色の花が咲いた」は、
みほようこの初めての童話集「風の神様
からのおくりもの」に収録されています。
- 作者: みほようこ,長野ひろかず
- 出版社/メーカー: 鳥影社
- 発売日: 2001/08
- メディア: 単行本
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