赤い夕顔の花49
「奥がたさま。わしが夕顔の花を
とったばかりに、いやな思いをさ
せてしまい申し訳ありません。
よかれと思ってしたことが、とん
でもないことになってしまいました。
ほんとに申し訳ありません」
そうべえは、お万にあやまりました。
「いいのよ、そうべえさん。
あなたを強くとめなかった私が悪
いのですから。
ちゃんと家のかたにことわって、
夕顔の花を分けていただけば良か
ったですね」
「奥がたさま。盛永さまのことは、
何も気にすることはありません。
悪口をいいたい人には、いわせて
おけばよいのです。
人の口には、戸はたてられません
から」
そういって、そうべえはお万をな
ぐさめました。
つづく
「赤い夕顔の花」は、信州の南端
にあった「権現城」に伝わってい
る話をヒントにして、みほようこが
書いた物語。