赤い夕顔の花

[童話]赤い夕顔の花


赤い夕顔の花 57


「いいのよ、そうべえさん。あなたを強くとめなかった
私が悪いのですから。ちゃんと家のかたにことわっ
て、夕顔の花を分けていただけば良かったですね」
「奥がたさま。盛永さまのことは、何も気にすることは
ありません。悪口をいいたい人には、いわせておけ
ばよいのです。人の口には、戸はたてられませんから」
そういって、そうべえはお万をなぐさめました。

「戦さえなかったら、長五郎にこんな辛い思いをさせ
なくてもすむのに。一日も早く戦のない平和な世の中
になってほしい」
お万は、心の中でそっとつぶやきました。
お万たちは、浪合の実家に向かって道をいそぎました。


        つづく