白駒の池物語


  白駒の池物語13


「ふくちゃん。やっぱり生きてい
たんだね」
清太は、心の中でそっとつぶやき
ました。



ふくは、清太のおかあさんの乳で、
大きくなりました。
ふくと清太は、兄と妹のように育
ちました。



ところが、
ふくは、八才の時、守屋山へ福寿
草の花をとりに行き、凍死してし
まいました。
ふくの死は、清太にとって忘れる
ことのできない悲しい思い出でした。



ふくちゃんとそっくりな少女が、
おらの目の前に立っている。
清太は、きよをみた時、夢をみて
いるのではないかと思いました。


           つづく



「白駒の池物語」は、信州佐久にあ
る「白駒の池」に伝わっている話を
ヒントにして、みほようこが書いた
物語。