白駒の池物語


  白駒の池物語32


「その話、とうちゃんから聞いた
ことがある。
ふくちゃんは、守屋山へ福寿草
花をとりに行って、なくなったん
でしょ」



「そうなんだ。ふくちゃんは、み
んなが留守の間に、一人で守屋山
福寿草の花をとりに行き、道に
まよってしまったんだ。
運悪く、その日雪が降ってね、ふ
くちゃんは凍り死んでしまった」



「かわいそうなふくちゃん」
「一人きりのこどもをなくした長
者と奥さまは、気の毒なほどがっ
かりしていた。
かあちゃんも、しばらく元気がな
かった。おらもつらかった」



清太は、ふくのことを思い出し、
涙が出そうになりました。
「おらをさそってくれたら、あん
な悲しい事故はおきなかったのに。
ふくちゃんは、なぜ一人で守屋山
へ行ったのだろうか」
清太は、今でもふくの気持がわか
りません。


          つづく



「白駒の池物語」は、信州佐久にあ
る「白駒の池」に伝わっている話を
ヒントにして、みほようこが書いた
物語。



初めてこの物語を読んでくださった
かたへ


    白駒の池物語1


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20080807#p1



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