井戸で鳴く黄金色のにわとり


 井戸で鳴く黄金色のにわとり3


「あっ、こっこの声だ。
こっこ、おはよう」
姫は、にわとり声で目をさましま
した。
「姫さまのにわとりが鳴いている。
さあ、おきなくては」
城に住んでいる人たちは、姫のに
わとりの声で目をさまします。



夏のある日。
「みーん、みーん」
松の木で、蝉が鳴いています。



「姫、ちょっと」
「なぁに、おとうさま」
「今は、戦国の世。なにがおこるか
わからない。
だから、一人で外へ出ないように」


            つづく



    昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100112#p1



 初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100111#p1



「井戸で鳴く黄金色のにわとり」は、
信州の伊那谷にあった「大島城」に
伝わっている話をヒントにして、
みほようこが書いた物語。