火とぼし山68
「えっ、きよが?
場所は、どこでしょうか」
「小坂観音沖の淵じゃ」
「わかりました。すぐ行きます」
「手長、足長。きよのこと、たの
んだぞ」
「はい、承知しました」
手長と足長は、いそいで小坂観音
沖の淵へ向かいました。
淵へつくと、淵は大きなうずをま
いていました。
うずは、ごぉーと大きな音をたて
ています。
二人は、淵のまわりをみわたしま
した。
でも、きよの姿はありません。
「きよは、このうずにまきこまれ
てしまったのね。かわいそうに」
「このうずでは、助からないだろう」
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100516#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1
信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。