火とぼし山


「火とぼし山」を読んでいただき
ありがとうございました。


    昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100604#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1



   「火とぼし山」より


月は、まだでていません。
きよは、暗闇の中を、向こう岸
にむかって泳いでいきました。



しばらくすると、西山にぽっと
小さな火がともりました。
「あっ、次郎さんだ。
今日も火をたいてくれたのね。
ありがとう」
きよは、西山にともった小さな
火をみて、ほっとしました。



しかし、何か変でした。
今日の火は、少し南によってい
るような気がする。
気のせいかしら。
次郎さんがともしてくれた火だ
もの、まちがいない。
あの火を目印に、泳いでいこう。



きよは、次郎がともしてくれた
火をめがけて泳いでいきました。
五分後。
「やっぱり変だ。泳ぐ方向を変
えなくては」
そう思った時、目の前に大きな
うずがあらわれました。



信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒ
ントにして、みほようこが書いた
物語。