開善寺の早梅の精


   開善寺の早梅の精 5


「うわさに聞く開善寺の早梅を、
ひとめみたい」
そう思った文次は、そっと戦場
をぬけだしました。
そして、胸をはずませ、開善寺
へいそぎました。



寺へ着くと、梅の花が咲いていま
した。
雪のように白い、美しい花でした。
あたり一面に、梅の花のいい香り
がただよっています。
なんともいえない清らかな香りで
した。
「なんていい香りだろう」
文次は、梅の香りにうっとりしま
した。


        つづく