2017-12-26 開善寺の早梅の精 童話 開善寺の早梅の精 8 すると、女の人は、にっこりほほ えみました。 文次は、即興で歌をよみました。 ひびきゆく鐘の声さへ匂ふらん 梅咲く寺の入り相の鐘 「この寺では、鐘の音までも、梅 の香りに満ちている」、こんな意 味の歌でした。 すると、女の人は軽く会釈をして、 歌を返してきました。 ながむれば知らぬ昔の匂ひまで おもかげ残る庭の梅が枝 つづく