開善寺の早梅の精


   開善寺の早梅の精 17


  袖の上に落ちて匂へる梅の花


  梢に消ゆる夢かとぞ思ふ



「袖に落ちた梅の花は、夢の中
でちぎった女性のようだ」という
意味の歌をよんだ文次は、眠く
なってねてしまいました。



女の人は、文次の寝姿をじっとみ
ていました。



 しきたへの手枕の野の梅ならば


 寝ての朝けの袖に匂はむ


      
       つづく