愛犬りゅう「ばいばい、またね」

[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」


「わん」となけたよ!! 1


ぼくが「わん」と鳴いたのは、生後何ヶ月頃だったの
だろうか?
ほかの犬に比べると、遅かったような気がする。
あーちゃんの家には、こどもがいなかったので、ぼく
がこどものようなものだった。
だから、誰にもいじめられることがなかったし、いじを
やかされることもなかった。
だから、「わん」と鳴く必要がなかったのかもしれない。


初めて「わん」と鳴いた日のことは、今でもはっきりお
ぼえている。
一月頃だったと思う。
その日は、春のような暖かな日だった。
ぼくはひなたぼっこをしているうちに、うとうとと眠って
しまった。
「どすん」
近くで大きな音がした。


          つづく