愛犬りゅう「ばいばい、またね」

[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」


「あっ、落ちちゃった・・・」 3


「こわい!!」
ぼくは足がすくみ、しゃがみこんでしまった。
「りゅう、どうしたの? これは車の音だから、大丈
夫だよ」
あーちゃんはそういって、ぼくのせなかをなでてく
れた。
「車にひかれると死んでしまうから、ちゃんと歩道を
歩こうね」
歩道を歩けば、大丈夫なのか。


ぼくは車の音におびえながら、坂道をのぼってい
った。
何台も何台も、車が通る。
急な坂になっているので、「ごぉー」という車の音が
すごい。
でも、何度も「ごぉー」という音を聞いているうちに、
少しなれてきた。
なれてきたが、それでもこわい。


              つづく