愛犬りゅう「ばいばい、またね」

[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」


「ハプニング? あーちゃんの指をがぶり・・・」 6


「ねえ、りゅう。良い子だから、口をはなして・・・。痛
いわ・・・。りゅうは今私の指にかみついているのよ。
わかる?」
そういわれても、最初はあーちゃんの指にかみつい
ているという感覚は、ぼくにはぜんぜんなかった。
「ボールをはなせば、またボールをとられてしまう」そ
んな気持の方が強かった。


・・・というのはうそで、あーちゃんの悲鳴を聞いたら、
びっくりして口が硬直してしまったのだ。
「りゅう、ボールをはなしなさい!!」
あーちゃんが何度もさけんだ。
何度いっても、ぼくがボールをはなさないので、おも
いあまったあーちゃんは、左手でぼくの耳を強くひっ
ぱった。
「痛い!!」


             つづく