愛犬りゅう「ばいばい、またね」23
すると・・・。
あーちゃんの目から、大粒の涙が・・・。
その涙をみたら、あら不思議・・・、硬直してい
た口が動くようになった。
そして、やっとボールをはなすことができた。
「ああ、良かった・・・」
ぼくはほっとした。
そして、あーちゃんの手を「ごめんね」といいな
がら、ぺろぺろとなめた。
「ああ、痛かった・・・、なんでかわいがってあ
げている私の指にかみつくのよ」
そういいながら、あーちゃんはあわてて部屋へ入
っていった。
窓からのぞいたら、あーちゃんは「痛い、痛い」と
いいながら、指を消毒している。
「狂犬病にならないかしら?この間注射したばかり
だから、大丈夫だよね」
あーちゃんがひとりごとをいっている。
「痛かっただろうが、大丈夫だよ。狂犬病になどな
らないよ」
ぼくは心の中でつぶやいた。
「あーちゃん、ごめんね。痛かったでしょ」
ぼくは何度も心の中であーちゃんにあやまった。
ハプニングだといえ、なんてひどいことをしてしまっ
たのだろう・・・。
あーちゃんはぼくがしたことを許してくれるだろうか?
つづく