白駒の池


白駒の池30

第五章 白駒の池


「長者さま。長者さま。た、大変です!!」
おてつだいの人が、あわてて長者をよびにきました。
「なにごとじゃ。そうぞうしい」
「し、白駒が馬小屋におりません」
「なに?白駒がいないと。白駒は、いつからいない
のじゃ」
「はい。今、馬小屋をのぞいたら、白駒がいません
でした」
「白駒は、わしの大切な馬じゃ。みんなで手分けし
てさがしておくれ」
長者は、みんなにお願いしました。



娘のきよは、部屋にとじこもったままでてこないし、
清太はいなくなってしまったし。その上、大切にし
ている白駒までいなくなってしまうなんて・・・。
長者は「どうしてこんなことになってしまったのだ
ろう。清太をおいだしたから、ばちがあたったのだ
ろうか」と思いました。
長者は、自分が大切にしていたものを、すべてなく
してしまったような気がし、がっかりしました。
「白駒よ。おまえだけでも、早くもどってきておくれ」
長者は、心の中で祈りました。


                         つづく