明神さまの姿をみた少女


    明神さまの姿をみた少女9


少女は何本かの松虫草の花をたおると、足早に急
な坂道をくだって家にいそぎました。
明神さまが住んでおられる社が、遠くの方にみえ
てきました。



明神さまは少女とわかれた後、風になって諏訪湖
のまわりの村をみまわりしていることでしょう。



今までに「ぴゅー」というさわやかな風の音をき
いた人はおおぜいいますが、明神さまの化身であ
るりりしい少年の姿をみたのは、あとにもさきに
もこの心の優しい少女ひとりだけだったそうです。


おわり



「明神さまの姿をみた少女」は、みほようこの初めて
の童話集・「風の神様からのおくりもの」に収録さ
れています。



風の神様からのおくりもの―諏訪の童話

風の神様からのおくりもの―諏訪の童話