黄金色のまゆ玉


   黄金色のまゆ玉3


「真夜中、明神さまはどこへ行ったのだろう」
「今夜、そっと明神さまの後をつけてみよう」
「おお、それがいい。それがいい」
勇気のある足の早い青年が、何人かで明神さ
まの後をつけることにしました。



その日の夜。
青年たちは、物陰にかくれて、明神さまがで
てくるのをじっと待っていました。
すると・・・。
明神さまがでてきました。
「おお、寒いっ」
明神さまは、空をみあげみぶるいしました。



そして、なにやら小声でつぶやくと、足早に
歩き始めました。
その早いことといったら。
青年たちは、こんなに早く歩く人をみたこと
がありません。
青年たちは、たちまち明神さまをみうしなっ
てしまいました。


            つづく



信州の諏訪地方には、「おみわたり」とい
う伝説があります。


「黄金色のまゆ玉」は、「おみわたり」の
伝説をヒントにして、みほようこが書いた
物語。