火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 77


第七章 新しい出発 7


足長は手長を背負い、ごぉーと音をたてている
うずのまわりを、ゆっくり歩きました。
「明神さま。これからうずのまわりを歩きます。
どうかわしらをしっかりお守りください」
手長と足長は、心の中で明神さまにお願いしま
した。


「よし、わかった。手長、足長。きよのことを
たのんだぞ」
どこからか、明神さまの声が聞こえてきました。
手長は、長い手でうずの中をかきまわしました。
しかし、何もひっかかってきません。
「あぶない。あなた、気をつけて」
「手長。おまえこそ、気をつけろ」
二人は、何度もうずの中へひきこまれそうにな
りました。


        つづく