赤い夕顔の花

[童話]赤い夕顔の花


赤い夕顔の花 11


月見の宴がたけなわになった頃。
「殿様。殿様―」
天守閣でみはりをしていた人が、宴会場へと
びこんできました。
「殿様。大変でございます」
「何ごとじゃ」
「敵が・・・敵がせめてきました」
「何、敵がせめてきたと。誰じゃ」
「隣の城の下条かと」
「下条がせめてきた?」


盛永は、一気に酒のよいがさめました。
「はい。下条の軍勢は、すでに城の近くまで
きています」
「城の近くまできていると。早くみんなに知
らせろ」
盛永が、大声でどなりました。


         つづく