赤い夕顔の花

[童話]赤い夕顔の花


赤い夕顔の花 26


「犬坊。おまえは、わしの小姓になったことを、
後悔しているのか」
「いいえ。後悔しておりません。殿様にも、奥
がたのお万さまにも、かわいがっていただきま
したから。若君の長五郎さまとも仲良しになれ
ましたし」


「それならいいが。わしは、今まで、領民のこ
とも考えず、次から次へと三つも城を作った。
重臣たちからも、領民のことを考えなさいと何
度も忠告された。でも、わしは、その忠告を無
視した。そんなわがままなわしをみて、おまえ
は城へきたことを後悔しているのではないかと、
心配していたのじゃ」


         つづく