笛の音よ、永久にひびけ

[童話]笛の音よ、永久にひびけ


   笛の音よ、永久にひびけ 17


一カ月後。
若者は、かえでの木が立っていた丘の上で、コンサ
ートを開きました。
協力してくれた村の人々や、かえでの木が大好きだ
ったこどもたちのために、若者はかえでの笛でいろ
いろな曲を演奏しました。


二百年もの間、村の人々を守ってくれたかえでの木
の精が、その笛の中に宿っているような、清らかな音
色でした。
村の人々は、若者が奏でる清々しい笛の音に、時間
も忘れうっとりと聞きほれました。
こうして、切りたおされたかえでの木は、一人の若者
によって、コカリナとよばれるすてきな笛に生まれか
わりました。


       つづく





「笛の音よ、永久にひびけ」は、みほようこの四冊目の
童話集「ライオンめざめる」に収録されています。


https://mihoyouko.web.fc2.com/douwasyuu4.html



童話集「ライオンめざめる」の価格は、現在 1540円です。