愛犬りゅう「ばいばい、またね」

[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」


「あっ、あーちゃんが追いかけてくる!!」 4


あーちゃんは、小学生の頃から陸上の選手だ。
だから、ものすごく足がはやい。
たちまち、ぼくはあーちゃんにつかまってしまった。
「りゅう、なぜ逃げるの!車にひかれたらどうするの!」
ぼくはあーちゃんにきつくしかられた。
でも・・・、初めての冒険は楽しかった。
あーちゃんには悪いけれど、また冒険にいきたいな。


死ぬまでの15年3ヶ月の間に、ぼくは何度か脱走した。
自分から脱走したわけではない。
知らない間に、つないであった鎖が切れたのだ。
ぼくはその偶然のチャンスを、うまく利用しただけだ。
そのたびに、あーちゃんには心配をかけた。
あーちゃん、何度も心配かけてごめんね。


              つづく