明神さまの姿をみた少女


諏訪には、諏訪の七不思議という神秘的な伝説
が伝わっている。



   諏訪の七不思議とは、


1. 湖水御神渡


 諏訪湖の御神渡のこと。
  湖氷の御渡は、上社の神が下社の女神の許
に通うのだという信仰がある。




2. 蛙狩神事(上社)


  元旦の早朝の神事。
  上社前の御手洗川(みたらしがわ)で、元
  旦の朝氷を割って蛙狩りをする。

  


3. 五穀(ごこく)の筒粥(つつがゆ)下社

 
  正月十四日夜より十五日暁にかけて、葦を
  束ねて米と炊く。
  葦の中に入った五穀によって作毛の善し悪
  しを占う。




4. 高野の耳裂け鹿(上社)

   毎年四月十五日、酉の祭りがおこなわれる。
  その時集まる鹿の中に、必ず耳の裂けた鹿が
  いる。




5. 葛井の清池(くずいのせいち)
 
  毎年十二月大晦日の夜半、一年中上社に捧
  げた幣を、この池に投げ込むと、翌朝遠州
  の国佐奈岐(さなぎ)の池に浮く。




6. 御作田(みさくだ)

  六月十日に田植えをすると、八月一日に神
  前に供することができる。
  稲が六十日で実る。




7. 宝殿の天滴(ほうでんのてんてき)上社

  上社の宝殿は、どんな干天のおりにも、水
  滴が落ちるといわれている。

  


童話「明神さまの姿をみた少女」の中で、諏訪
の七不思議のひとつである、「高野の耳裂け鹿」
に登場してもらいました。



http://www.geocities.jp/dowakan/myojinsama1.html



少女が後をふりむくと、いつきたのでしょうか。
かわいい小鹿が少女の後にちょこんと立っていま
した。小鹿の耳はたてにふたつにわれていました。
「この小鹿は明神さまのおつかいをしている小鹿
ではないかしら」
少女はなぜかそう思いました。



小鹿は「こっちへおいで。こっちですよ」という
ように、つぶらなひとみで少女をみつめ、どこか
へさそっているようなしぐさをしました。
少女は何かにさそわれるように、小鹿の後をつい
ていきました。
小鹿は時々たちどまり、後をふりかえっています。
どこまでも続くすすきの原を、少女は小鹿の後を
ついて足早に歩きました。



どの位歩いたのでしょうか。
少女には長い時間歩いたような気がしました。
少女は小鹿に案内されて、丘の上にある小さなほ
ら穴の中へ入って行きました。
穴の中に入ってみると、中には広い部屋がありま
した。
大きなニ本のろうそくにてらされてみえたもの、


      つづく



童話「明神さまの姿をみた少女」は、みほようこ
の初めての童話集「風の神様からのおくりもの」
に収録されています。



風の神様からのおくりもの―諏訪の童話

風の神様からのおくりもの―諏訪の童話