火とぼし山9
二人は、花が大好き。
休みになると、霧ケ峰高原へ花をみ
に行きました。
春は、座禅草やすみれを。
初夏には、れんげつつじを。
夏には、日光きすげを。
秋には、松虫草やすすきをみに行
きました。
年頃になった二人は、いつしか強
く心をひかれるようになっていた
のです。
三日後。
次郎は、西の村へ引っ越していき
ました。
「次郎さん。約束を忘れないでね。
七日後、会えるのを楽しみにして
いるわ」
「おらも、きよちゃんに会えるの
を、楽しみにしているよ」
次郎は、なごりおしそうに、西の
村へ引っ越していきました。
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100316#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1
信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。