[童話]火とぼし山
火とぼし山 56
第六章 湖を泳ぐ娘 4
すると・・・。
「あっ、次郎さんだ。約束通り、火をたいてく
れたのね。ありがとう、次郎さん。今、行くか
らねー」
きよが、大声でさけびました。
みると、西の山に、小さな火がともっています。
「あの火が、二人の合図なのか。それにしても、
小さな火じゃのぅ」
「きよは、あの火がともるのを、待っていたの
ね。あの火は、二人をつなぐ命の火なのでしょ
うね」
手長がしんみりいいました。
手長と足長は、小さな火をめがけて泳いでいく
きよの姿を、いつまでもじっとみていました。
つづく