火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 88


第七章 新しい出発 18


きよは強いショックを受け、すべての記憶がなく
なっているようでした。
記憶がないまま、生まれ育った諏訪で暮らすのも
つらかろう。
きよが生きていることを知ったら、次郎がまた何
かするかもしれないし。
きよの両親も、記憶のない娘と暮らすのはつらい
だろう。
いろいろ考えた末、明神さまは、静岡の知り合い
にきよを預けようと思いました。


その夜。
「手長、足長。明神じゃ。用事があるので、すぐ
きてほしい」
「はい、わかりました」
手長と足長は、いそいで明神さまのやしきへ行き
ました。


        つづく