赤い夕顔の花

[童話]赤い夕顔の花


赤い夕顔の花 53


「おばあさん、お願いです。幼いこどもの前で、城
主の悪口をいわないでください。お願いします」
お万は、おばあさんにお願いしました。
「何をいっとる。すべてほんとのことではないか」
おばあさんは、権現城の近くに住む親類の人か
ら聞いたといううわさを、次から次へと早口でまく
したてました。


お万は、おばあさんの話を黙って聞いています。
「おばあさん。つれの者が、ことわりもなく夕顔の
花をとったこと、おわびいたします。でも、たった
一つ花をとっただけで、次から次へとひどいこと
をいわれるなんて思ってもみませんでした。


          つづく