火とぼし山66
五分後。
「やっぱり変だ。泳ぐ方向を変え
なくては」
そう思った時、目の前に大きなう
ずがあらわれました。
「あっ、うずだ」
きよは、大きなうずにまきまれて
しまいました。
もがけばもがくほど、うずの中に
すいこまれていきます。
「誰か、助けてぇー」
きよは、大声で助けをよびました。
でも、湖には誰もいません。
舟ひとつういていません。
「神様。どうか私を助けてくださ
い。お願いします」
きよは、一心に祈りました。
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100514#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1
信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。