火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 20


第三章 湖の氷の上を歩く娘 3


「あぶない」
「そっちへ行ってはだめ」
明神さまは、はらはらしながら、娘の後を
ついていきました。
「娘よ。なぜ氷の上を歩くのじゃ。湖の氷
は、まだ薄い。湖に落ちれば、死んでしま
うぞ。このわしでさえ、今夜初めて氷の上
を歩いたのじゃ。おまえは、ほんとにむて
っぽうな娘じゃのぅ」
明神さんは、心の中で娘に話しかけました。


無事に湖をわたりおえた娘は、裏山に向か
って歩き始めました。
娘は、急な坂道をどんどん登って行きます。
「なんて足のはやい娘だろう」
明神さまは、小声でつぶやきました。


       つづく