ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴


   小桜姫とふしぎな鈴 16


一年後、姫は重い病気にかかり、三十四才の若さ
で、この世を去りました。

なくなる少し前、姫はぼだい寺の和尚に、大切にし
ていた二つの鈴をあずけました。
「私もじきに死ぬだろう。でも、いつかこの世にふた
たび生まれてきたい。生まれ変わって、大好きな父
や母、夫とともに、もう一度この世で暮らしたい」
姫は、ふたたびこの世に生まれてくることを、強く望
みました。


ある夜、姫は夢をみました。
桜の花が美しく咲いている下で、少女が鈴をもらっ
ている夢でした。
「かな、この鈴を大切にするのだよ」
長いひげの人は、その少女を“かな”とよんでいます。
「私はかなという少女に生まれ変わるのかもしれない」
姫は、なぜかそう思いました。


         つづく





「ふしぎな鈴」は、みほようこの三冊目の童話
「ふしぎな鈴」に収録されています。


https://mihoyouko.web.fc2.com/douwasyuu3.html



「ふしぎな鈴」の価格は、現在 1540円です。