2010-04-01から1ヶ月間の記事一覧

火とぼし山

火とぼし山37 何時間もかけ、やっと次郎の所へ つきました。 「次郎さん。会いたかったわ」 「きよちゃん。遠い所をご苦労さま。 一カ月は、ほんとに長かったね」 次郎は、笑顔できよを迎えてくれ ました。 きよは、次郎の笑顔をみてほっと しました。 二人…

ゆきやなぎ

「花のほほえみ」より ゆきやなぎ

火とぼし山

火とぼし山36 後二十九日、後十五日、後八日・・・ と、次郎に会える日を指おり数え て待っていました。 「次郎さんに会いたい」 「次郎さんの笑顔がみたい」 この一ヶ月、きよは次郎のことば かり考えてすごしました。 西山に太陽が沈む頃、きよは次郎 が…

片栗

「花のほほえみ」より 片栗

火とぼし山

火とぼし山35 「そうか。それならいいけれど。 このごろ元気がないから、どうし たのかなと心配していたのだよ。 仕事がひまになれば、また会えるさ」 おとうさんは、きよをなぐさめま した。 「とうちゃん。ごめんね。 ほんとは、仕事がひまになっても、 …

岩山つつじ

「花のほほえみ」より 岩山つつじ

火とぼし山

火とぼし山34 「娘よ。青年と会えない日には、 心の中で話をしなさい。 そうすれば、さみしくないぞ。 一ヶ月なんて、あっという間じゃ。 娘よ、元気をだしなさい」 明神さまは、心の中で娘に話しか けました。 その夜。 「きよ。このごろ元気がないけれ …

ばいも

「花のほほえみ」より ばいも

火とぼし山

火とぼし山33 数日後。 明神さまは、湖のほとりで、また 娘をみかけました。 娘は、西山にむかって、なにかしゃ べっています。 「次郎さん。元気? 今、何をして いるの。 一カ月も、次郎さんに会えないなんて、 私さみしい。一日も早く、次郎さんに 会い…

プリムラ

「花のほほえみ」より プリムラ

火とぼし山

火とぼし山32 あの夜は、あの娘、とてもうれし そうな顔をしていたのに、今日は なんだか元気がない。 どうしたのじゃろ。 青年とけんかでもしたのかな」 明神さまは、奥さんの所から、上 諏訪のやしきへもどる所でした。 「まあ、どんなに仲がよくても、…

片栗

「花のほほえみ」より 片栗

火とぼし山

火とぼし山31 「なんか、はずかしくて。 そんなにしょっちゅう家に帰るのは おかしいと、主人にといつめられた。 だから、きよちゃんのことを話した んだ」 「そうしたら、なんていったの」 「きよちゃんとは、月に一度、会っ たらどうかといわれた。 野良…

片栗

「花のほほえみ」より 片栗

火とぼし山

火とぼし山30 「おれ、きよちゃんと会う日には、 家に用事があるといって、ここへ きていたんだ」 「次郎さん。なぜ、ほんとのこと を、主人にいわなかったの。 最初にきちんと話しておけば、な んでもないことなのに。 次郎さんは、私と会うことが迷惑 だ…

桜の花

「花のほほえみ」より 桜

火とぼし山

火とぼし山29 すると、 「きよちゃん。実は、おれ・・・」 次郎が、いいにくそうに話を始めま した。 「次郎さん。どうしたの」 「実は、きよちゃんと」 次郎さんて、ほんとにじれったい人 ね。いいたいことがあれば、はっき りいえばいいのにと、きよは思…

火とぼし山

火とぼし山28 きよちゃんの気持は、うれしい。 おらも、きよちゃんが大好きだ。 でも、次郎は、心のどこかで不安 を感じていました。 何に対する不安なのか、次郎にも わかりませんでした。 次郎は、きよのそばにいると、ほっ とします。 そして、心がなご…

火とぼし山

火とぼし山27 その手は、びっくりするほど熱い 手でした。 「きよちゃん。熱があるんじゃな い? だいじょうぶ」 次郎が心配して聞きました。 「熱なんてないわ。次郎さん、心 配しないで。 私の手は、いつも熱いの。さあ、冷 めないうちにお酒を飲んで」 …

プリムラ

「花のほほえみ」より プリムラ

火とぼし山

火とぼし山28 「きよちゃん。遠い所をご苦労さま。 待っていたよ」 次郎は、笑顔できよを迎えてくれま した。 「私は、次郎さんの笑顔をみるだけ で幸せ」 きよは、心の中でそっとつぶやきま した。 「次郎さん。いつものお酒よ」 「きよちゃん。このとっ…

八重水仙

「花のほほえみ」より 八重水仙

火とぼし山

火とぼし山27 きよは、一分でも早く、次郎の所 へ行ける方法はないものかと考え ました。 「湖を泳いで行ったらどうだろう」 きよは、湖の中へ手を入れてみま した。 氷がとけ始めた湖は、驚くほど冷 たく、泳いでいくことは無理でした。 きよは、次郎のこ…

姫おどりこ草

「花のほほえみ」より 姫おどりこ草

火とぼし山

火とぼし山26 次郎は、きよのさみしそうな姿を みるたびに、心が痛みます。 でも、住みこみで働いている次郎 には、どうすることもできません でした。 湖に氷がはっている間、二人は何 度か会いました。 五日に一度は、会っていたでしょ うか。 第四章 一…

りゅうの俳句

りゅうの俳句1584 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091107#p4 りゅうの俳句1585 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091108#p4

火とぼし山

火とぼし山25 「明神さま。その娘は、どこに住 んでいるのですか」 「どこに住んでいるか、わしも知 らん。今夜会ったばかりだから。 でも、湖の東側に住んでいること だけはたしかじゃ。名前は、きよ というらしい」 「じゃあ、早速調べてみましょう」 「…

福寿草

「花のほほえみ」より 福寿草

火とぼし山

火とぼし山24 「夜中に、湖の氷の上を歩く娘が いるのじゃ」 「氷の上を歩く娘? 明神さま。湖の氷は、まだ薄い。 氷の上を歩くなんて、危険です。 こんな寒い日に、湖に落ちれば死 んでしまいますよ」 足長が、心配していいました。 「だから、娘が湖に落…