童話

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 朝顔のエスカレーター 8 すると…。 「リーン、リーン、コロンころん」 「リーン、リーン、コロンころん」 どこからか鈴の音が聞こえてきました。 「かなさん、元気ですか。その種は朝顔の種ですよ。 外へでて、雪の上にその種をまいてごら…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 朝顔のエスカレーター 7 「かな、みてごらん。朝顔の芽がでてきたよ。かわい いだろ」 「かな、つるがのびてきたよ」 「ほら、みてごらん。つぼみが三つもついたよ。もう すぐ花が咲くよ。楽しみだね」 朝顔の花をみていると、おとうさん…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 朝顔のエスカレーター 6 「黄金色の鳥は、あちらの国っていったけれど、あち らの国ってどこにあるのかしら?」 かなは「あちらの国」ということばが、気になりました。 次の朝、かなは黄金色の鳥がとまっていた柱時計の 上を、そっとのぞ…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 朝顔のエスカレーター 5 よく見ると、黄金色の鳥が、柱時計の上にとまって います。 見たことのない、美しい鳥でした。 「かなさん、私は遠い国から、あなたのおとうさんを 迎えにきました。これから、おとうさんは遠い国へ旅 立ちます。…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 朝顔のエスカレーター 4 おとうさんと沼へおにやんまや銀やんまをとりに いったこと、庭できあげはや黒あげはをとったこ とが、まるで昨日のことのように、なつかしく思い 出されました。 「やさしいとうちゃんだった。私はとうちゃんが大…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 朝顔のエスカレーター 3 「とうちゃん、とうちゃん。目をあけて。ねえ、とうち ゃん、おきて…」 かなはおとうさんの体にしがみつき、体をゆすりま した。 さっきまで元気でいたおとうさんが、急になくなっ てしまうなんて、かなには信じら…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 朝顔のエスカレーター 2 「この鈴はね、鎌倉の和尚さんからいただいた鈴だ よ。この春、丘へ桜を見に行った時、小桜姫の話を してあげたね。おぼえているかな? この鈴は、小 桜姫が大切にしていた鈴の一つだよ。小桜姫はね、 二つの鈴を…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 朝顔のエスカレーター 1 それから一年後。 残暑の厳しい九月五日のことでした。 大好きなおとうさんが、心臓病で急になくなってしま いました。 しんきんこうそくでした。 「かな、おじいちゃんとおばあちゃんに、かわいがっ てもらったこ…

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[童話]ふしぎな鈴 じいちゃんとばあちゃん 5 「じいちゃーん、じいちゃんはどこー」 かなはおじいさんの家へ行くたびに、おじいさんを 探して歩きました。 でも・・・おじいさんはどこにもいませんでした。 「死ぬということは、姿がみえなくなるということ…

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[童話]ふしぎな鈴 じいちゃんとばあちゃん 4 おじいさんといっしょにみたせみの羽化は、忘れら れない思い出になりました。 おじいさんもおばあさんも、花や小鳥が好きな心の やさしい人でした。 かなが五才の時。 おじいさんが病気でなくなりました。 脳こ…

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[童話]ふしぎな鈴 じいちゃんとばあちゃん 3 みていると、背中がぱかっとわれて、中からせみが 元気よくとびだしてきました。 生まれたばかりのせみは、うすい灰色がかった空色 をしています。 小さく縮れていたせみの羽が、時間がたつにつれ、 だんだんに…

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[童話]ふしぎな鈴 じいちゃんとばあちゃん 2 おじいさんの家では、蚕をたくさんかっています。 蚕室(まゆをとるために蚕を飼う部屋)へいくと、蚕の においがぷーんとします。 かなは、蚕が桑の葉を食べる音を聞いて育ちました。 夏のある朝。 かなとおじ…

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[童話]ふしぎな鈴 じいちゃんとばあちゃん 1 かなはよちよち歩きの頃から、遠くに住んでいるお じいさんの家へ、遊びに行きました。 「かなや、かなや」 おじいさんとおばあさんは、初まごのかなを、かわ いがってくれます。 「じいちゃん、まってー」 「ば…

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[童話]ふしぎな鈴 かな生まれる 2 「かっこう、かっこう」 五月末になると、裏の林へかっこうがやってきます。 かっこうは大きな声で一日中鳴いています。 「もうすぐ夏がくるのだな」 かっこうの声を聞くと、かなはそう思います。 「ピーヒョロロ、ピーヒ…

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[童話]ふしぎな鈴 かな生まれる 1 小桜姫がなくなってから、五百年近い月日がたちま した。 南アルプスの山々が美しくみえる町に、女の子が 生まれました。 かなが生まれた時、丘の上の桜が、とても美しく咲 いていたそうです。 かなは、おとうさんとおかあ…

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[童話]ふしぎな鈴 小桜姫とふしぎな鈴 17 「数百年後、山深い町に、かなという名前の女の 子が生まれるので、二つの鈴を、その少女に渡し ていただきたい」 ぼだい寺の和尚に、姫はそうお願いしました。 大切な鈴をあずけ安心したのか、姫はしばらくし て…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 小桜姫とふしぎな鈴 16 一年後、姫は重い病気にかかり、三十四才の若さ で、この世を去りました。なくなる少し前、姫はぼだい寺の和尚に、大切にし ていた二つの鈴をあずけました。 「私もじきに死ぬだろう。でも、いつかこの世にふた た…

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[童話]ふしぎな鈴 小桜姫とふしぎな鈴 15 姫は、城が見える南岸の森の陰へ、仮家をつくり 逃げていました。 そして、城が焼けおちるのを、対岸のかくれ家で、 くやしい思いでみていたのです。 「くやしい、くやしい……。なんとしても、にくき北 条をほろぼ…

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[童話]ふしぎな鈴 小桜姫とふしぎな鈴 14 ところが、ある日、姫がおそれていた大きな戦が 始まりました。 それは、三年にもわたる、長いきびしい戦でした。 ひとつきに何度となくくりかえされる夜討ち、朝が け、やあわせ、きりあい。 どっとおこるときの…

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[童話]ふしぎな鈴 小桜姫とふしぎな鈴 13 大江家の一人娘が、なぜ三浦家へとついだのかっ て、ふしぎに思うでしょうね。 おとうさんは姫にこどもが生まれたら、一人大江家 のあととりにするつもりだったようです。 しかし、仲のよい夫婦でしたが、何年たっ…

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[童話]ふしぎな鈴 小桜姫とふしぎな鈴 12 年ごろになった姫は、はっとするほど美しい娘に なりました。 姿が美しいだけでなく、姫は心のやさしいしい人 でした。 姫が二十才になった春のことです。 「姫、義意はわしがほれた男じゃ。この人なら、 姫を幸せ…

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[童話]ふしぎな鈴 小桜姫とふしぎな鈴 11 「でも、また会えるでしょ?」 「ええ、姫さま。来年……また会いましょうね。この 鈴のことは……だれにも……ないしょよ。……姫 のおとうさまにも……ね」 とぎれとぎれでしたが、姫は桜の花とお話するこ とができました…

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[童話]ふしぎな鈴 小桜姫とふしぎな鈴 10 「こんにちは。私、小桜よ」 「……?」 「はじめまして。私、小桜です」 「……小桜?」 桜の花がとまどっている様子が、姫にもわかりました。 「桜さん、聞こえますか?」 姫は、桜の花に話しかけました。 すると、…

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[童話]ふしぎな鈴 小桜姫とふしぎな鈴 9 次の日。 姫は桜の木の下へ行き、桜の鈴を七回ふってみま した。 「リーン・リーン・リーン…」 すんだ音色が、あたりにひびきわたります。 「昨日、桜の花が話していたことは、本当かしら?」 姫は、桜の花に話しか…

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[童話]ふしぎな鈴 小桜姫とふしぎな鈴 8 「そうそう、小桜姫さまはね、…ふしぎな鈴を…もっ ているですって」 「ふしぎな鈴って…どんな鈴なの?」 「その鈴はね、桜の花びらの…鈴でね」 「みんな聞いた? 桜の花びらの鈴…ですって」 「その鈴を…靜かにリーン…

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[童話]ふしぎな鈴 小桜姫とふしぎな鈴 7 姫が十才になった春のある日。 姫は庭へでて、満開の桜をじっとながめていました。 そして、おとうさんからもらった桜の鈴を、何回かふ ってみました。 「リーン・リーン・リーン…」 姫が七回鈴をふった時、どこから…

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[童話]ふしぎな鈴 小桜姫とふしぎな鈴 6 一つは、桜の花びらで囲まれた中に、小さな鈴が 入っていました。 「リーン・リーン・リーン」 鈴虫が鳴いているような、すんだ音色の鈴でした。 姫はこの鈴がお気に入りで、なくなるまで大切にし ていました。 もう…

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[童話]ふしぎな鈴 小桜姫とふしぎな鈴 5 「ねえ、おとうさま。花はいくつ咲いているの?」 「ニ百くらいは咲いているだろう」 おとうさんはうれしそうにいいました。 姫が七才になった春のある日。 庭の桜が満開になりました。 例年になく、美しい桜でした…

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[童話]ふしぎな鈴 小桜姫とふしぎな鈴 4 「姫、きてごらん。椿の木にめじろがきているよ」 庭へ小鳥が来ると、おとうさんは小鳥の名前を教え てくれます。 姫は、小鳥の名前や鳴き声を、自然におぼえました。 そして、小鳥たちと仲良しになりました。 夏の…

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[童話]ふしぎな鈴 小桜姫とふしぎな鈴 3 「ホ…ケキョ、…ケキョ」 「ホーホ…、…ケキョ」 しかし、うぐいすはなかなかうまく鳴けません。 「うぐいすさん、がんばってぇ」 姫は、心の中でうぐいすをおうえんしました。 「ホーホケキョ、ほーほけきょ」 しばら…